手抜きのススメ その2

 

先に書いたブログで誤解があってはいけないので補足します。
「手抜き」をするということは決して質を落とすということではありません。
私が云っている「手抜き」とは無駄な労力を使わずに効率よく
一つ一つの行程を進めることです。しかしこの「手抜き」をするには
それぞれの行程をよく理解し熟知していなければ簡単にはできません。
そういう意味では、まず染織全体をしっかり理解する必要があります。
そしてそれを知った上でいかにいいものを効率よくつくることができるか
ということを常に考えることがとても大事です。
つまりは質のいい機械製品にどう対抗するかということにも
繋がることになります。
一つ一つの行程に自分がどうしたいか、何をしてやれば次にいい結果が
でてくるかを考えることの中に今までやってきたこととは違う方法が
見つかったりもします。
もうすぐ62歳になる私ですが未だにああでもないこうでもないと
日々考えながら仕事をしています。
そして、あれ〜ということがままあります。
なんで今までこれをしてこなかたのか?などという発見があります。
そしてその都度それに必要な道具が要れば自分で作ったり、頼んだりしています。
そんなことをしながら毎日仕事を楽しんでいます。
正直なところ最近は以前より染織していることが楽しくてしようがありません。
有り難いことです。
先日お伺いさせてもらった伊賀の陶芸家の工房の壁です。
久しぶりに土壁の美しさに感じ、思わずシャッターをきりました。
冨田潤
http://www.juntomita.com

手抜きのススメ

 以前書いた「染織は引き算」の中で書いた内容と矛盾するかも知れないが

私は絶えず手抜きを追求してきました。
染織をする上で基本動作はもちろん大変大事です。
それぞれの行程で次に繋がる作業をその行程を考えながら
作業することでよりスムーズに次の仕事に繋がっていきます。
そういう意味では学校などでは一般的に間違いのない正道なやり方を伝えます。
しかし、作業の方法や手順などに絶対的な正道はないのです。
そのときの条件や状況などによってまったく真逆な方法ということもあります。
染織をやり始めの人たちに時々見かける光景に、教えてもらった事に
とても忠実にそれを守り例えとんでもなく効率が悪いことでも
延々と忍耐強くまじめに取り組んでおられる場面があります。
そしてしんどい事でも忍耐強くすることがが染織をする人の美学のように
思われているように見える事があります。
もちろん細かい作業で忍耐を要求されることは多々あります。
しかしこのつらい作業をどうすれば楽にできるかを考えてみると
意外といくつも答えが出てくることがあります。
もっと楽に!もっと楽しく!作業することを考えてみたらいいのではと思います。
それをすることで新しい染織の道が見つかるかも知れません。
そういう意味で私は「手抜きのススメ」を推奨します。
そして楽しく織りに取り組めたらいいなと思います。
冨田潤
http://www.juntomita.com

何故手織りなのか

染織を始めた頃、何故手織りなのか?
何故手仕事なのか?と自問自答する日々が続きました。
しかしそれまでの人生で味わった事のない楽しさを
染織を勉強するなかに見つけ、そして自分の手を動かして
何かをつくるという行為に毎日興奮して過ごしました。
時々行った東寺や天神さんの市で見たり触ったりする昔の手織りの布には
初心者にも感じ取れる程の風合いや味わいなど工業製品にはない
やさしさがあることを手で感じました。そしていつかはこんな布を
織りたいと切に思いました。
しかしこれほど機械化が進んだ現代で手仕事をしてほんとうに
生き延びれるのだろうか?という疑問が絶えず私の頭の中に
居座っていました。時代に逆行するような手織りを続けて生きて
いけるのだろうか?ただ単に自分が好きだからこの仕事について
いいのだろうか?そんなことを問い続けながら結局は今日まで
この染織という仕事を続けてきました。
この現代において工業生産された布に素晴らしいものがたくさんあります。
それに対抗して手織りの布をつくるにはそれなりの存在価値が
ない限り続けることはできません。どうしたらいいのか。
どのような付加価値をもった布であればいいのか?
そのようなことを絶えず考えながら今日まできました。
果たして今までやってきたことが正しかったかどうか未だに
わかりませんが、なんとか今日まで続けて来れました。
私がこれまで一つだけ自分の肝に命じてきた事は例え手織りであろうと
最低限、工業生産された布と同等あるいはそれ以上の質のものをつくる!
ということでした。手作りということに甘えてはいけないと絶えず
自分に言い聞かせてきました。布が布としてその価値がないようなものは
たとえどれほど時間をかけて手間をかけて作り上げてもその存在価値は
ありません。最終の結果がすべてです。その途中を語る必要はありません。
ときどき耳にする言葉に「これは手作りで世界にひとつだけ」という
陳腐なコメントがあります。手作りがいい訳でも世界にひとつがいい訳
でもありません。例え大量生産されたものでも私が手に取った瞬間から
それは世界にひとつだけのものになります。そこになんの意味もありません。作り手は手作りということに甘えてはいけません。
こんな事を日々考えながら仕事をしています。
そしてさて私自身、手織りということに甘えていないだろうかと
頭を巡らしている今日この頃です。

染織は引き算

 

先日、経糸を染め終わった段階ではとても満足するようなものになっていたので
緯糸を入れるのを楽しみにしていました。
しかしいざ緯糸を入れてみると自分が思っていた程の効果が
表れませんでした。少し残念。
そこで常々思っている「染織は引き算」を再確認させられました。
「よし、今度はこうしよう」と思い織りの設計を考える、
この頭の中で思い描いたものが完璧なものとします。
経糸、緯糸の素材を選びそれらに見合った筬(1センチ間に何本の経糸が入るかを決める)
を選ぶ。この時点から引き算が始まります。
その後、糸巻きから始まり大管巻き、整経、経巻き、染色など様々な行程を経て
ようやく織りにつながります。
しかし、そのそれぞれの行程で絶えず引き算をされるのが染織です。
次の行程にうまく繋げられて当たり前。
一つ一つの行程をちゃんとこなして如何に減点を少なくするかが
絶えず要求されます。
少しでもいい加減なことをすればてきめんに次の行程に支障をきたしてきます。
決して焼き物のような窯の中で炎がつくり出してくれた「窯変」などという現象は
染織の世界では起きません。一つ一つの積み重ねの結果が如実に織り上がった布に表れます。
そういう意味では今自分がやっていることが何を何の為にやっているのかを
自分で把握しておく必要があります。次の行程がスムーズに進む為には今何をしてやれば
いいのかを考えて作業することが必要です。
このように書くと何か面倒なことのように思えますが、要は自分のいいものをつくりたい
という熱意をどのように表現し、伝えるかを真摯に考えながら作業するということなのかな
と思います。
最近はそのようなことが楽しんでできるようになっている自分をみつけ
ちょっと嬉しくなっています。

経糸を機に巻き取る

染織を始めてから40年が経ちました。

この間に日本のいろんな方々の工房を見る機会がありました。
また幸いにして日本をはじめオーストラリア、イギリス、アメリカ、北欧3国、
スイス、オランダなどの国々の美大で教える機会をいただきいろんな工房や設備、
道具などなどを見る機会に恵まれました。
私は主に日本の絣の技法を教えることを要請されて行ったのですが
教えにいって思い知らされたのは日本でやっていることをそのまま
伝えられないということでした。
文化や設備、道具の違い、素材や状況や時間的制約などを考えると
自分でやっていることを丸ごと伝えても意味がないことも多々あるということです。
そこでその場に一番あった改善策を考え、提供することを心がけてきました。
その経験が自分自身にとっても非常に勉強になったと思います。
この経験が私に一つの大きなヒントを与えてくれました。
染織をしていくとき、それぞれの行程をいつも同じようにする必要は
ないということです。また、この道具はこのようなときにこのように使うもの
という風に限定しないということです。
そのときの状況や素材などと相談して決めてやればいいということです。
また道具に関して云えば、今自分がしたいことに必要なものを見つけて
使う、まさしく手の延長のものを探してやるということです。
それが常識的にはおかしくても必要であればそれでいいのです。
私の工房にはあっちこっちに漬け物石やブロックが散在しています。
誰かにちょっと持っててもらう代わりやおもし代わりに重宝しています。
そしてどうしても必要とあれば自分でつくる、あるいはその道具を改造する
そういう度胸も必要になります。
こういう風に私が思う事、考える事を今自分がやっていることに
照らし合わせながらこれから少しづつ書いていきます。
染織を勉強している人ややっている人に役に立てればと願います。
さて経糸巻きです。
今回は半幅帯を2本分、部分整経器を使って整経しました。
その整経器から直接工房の隅に設置された千巻きに引き延ばし
(とりあえずは帯1本分の長さを)経糸をピンと張った状態で
染めます。(この染めのことは後日また)1本分が染め終われば
その経糸を上記千巻きにいったん巻き取ります。
つまり部分整経器から残りもう1本分の経糸を引き延ばしてやります。
そして残りもう1本の染めを施します。
染め終わったら凸凹のついたクランプで経糸がずれないように
しっかり止めてやります。(写真手前の黒いもの)
今度は部分整経器から経糸を外し織り機本体に括ります。
整経の始めにつくった輪を利用してロープでジグザグに止めました。
あとは染め上がった経糸とむこうの千巻きに巻かれているもう1本の
経糸を織り機のほうの千巻きに巻き取ります。
今回この作業まったく一人でやっています。
そこで必要なのは手前の機に巻き取る分向こうの千巻きに
巻かれた経糸が出てくれないとこまります。
バネを使ってフリクションブレーキを利用しこの問題を解決しています。
以上。
今回はこのような手順でやりましたがいつも同じではありません。
なにかの役に立てば幸いです。
冨田潤
http://www.juntomita.com
 

ベニシアと仲間たち展

 案内が遅くなってしまいましたが昨日から

京都大丸店にて『ベニシアと仲間たち展』が開かれています。
彼女とは僕が大好きなイギリス人の友人2人の紹介で知り合いました。
その2人は別々に知り合いお互いには面識はないのですが
どこかに共通する生活や考え方があるように感じます。
そこでベニシアに会って納得。出会う事は必然だったかなあ、、、。
展覧会には僕の作品なども何点か出品しています。
時間があればどうぞ覗いてみてください。
冨田潤
http://www.juntomita.com

突然の春シーズンに突入

 昨日、一昨日に続いて今日も京都にでました。

滅多にないことが続きました。一昨日はただ単に美味しい蕎麦が食べたいという
禁断症状に負けてしまい発作的にお昼にでかけました。30分以上は並ぶのを覚悟で
行ったのですが何故かギリギリ待たずに入れニンマリ。ありがたく美味しいかね○さんの
蕎麦をいただいて帰りました。
昨日、今日は一応仕事。都合で今日は車をJR保津峡に置いて電車で市内に。
保津峡のホームでぼーっと電車を待ってる間下を見ると保津峡は保津川下りの船のラッシュ。
観光シーズンに入ったのだなあと実感。山を見回すとコブシの花があちこちに。
そして山つつじも咲き誇っていました。あまりにも急に春が押し寄せた感じで戸惑います。
市内では時間に余裕ができたのでSou Sou に立ち寄ったら若林さんに見つかりしばし談笑。
iphone 5 用のカバー、脇坂さんデザインのものを手に入れる。気に入りました。
例の1234などの数字のやつです。実は以前脇坂さんが遊び半分で作られた焼き物のマグ、
同じ数字のデザインのやつを大分前に手に入れコーヒーや紅茶を飲むときに使っています。
このiphone のカバーもずーっと使い続ける事になりそうです。

帯二本

  今朝、先日干し上がった帯二本を砧打ち(きぬた)をしてふんわりもっちりした風合いにしました。基本は平織りだが部分的に綾織りを差し込み縞のアクセントをつけています。

今日の午後、東京 青山 八木さんに貰われていきました。