抽象模様の帯

 

きものSalon 2013-14秋冬号
上記の雑誌の特集の中で以前つくった帯を取り上げて頂きました。
青山 八木さんにお渡ししていた帯ですがどなたに買って頂いたのかな?と思っていたものですが今回の特集で森田空美さん(きもの研究家)に買って頂いていたことが判明。
あわせていただいた紬のきものとストールに助けられてとてもしっくりした感じに見えます。
涼やかな秋風を感じる季節にぴったりという表現がよくわかる組み合わせにしていただきました。有り難いことです。
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実は私はきものの世界には全くの門外漢なので染織に永年関わりながらもきものや帯からは
避けて通ってきていました。しかし数年前に青山 八木さんに出会い、うまいこと褒められ煽てられて帯をつくるようになりました。それまでやっていた壁面を飾る小さめのパネルの作品を指して「こういうものが帯のお腹の部分と太鼓のところにあればそれで十分という八木さんの言葉を真に受けつくり始めました。やってみると面白い。今までの平面的なものから少し立体的に見せれること。締め方や少しずらすことによって見え方も違ってきます。これまでの自分がすべて
どう見せるかを決定していたものが、ある程度身につける人に委ねるということで自分が想定していたものとは違うことにもなりうるおもしろさがあります。多分、きもの世界をよくご存知の人たちからすればとんでもなく非常識なものをつくっているのかも知れませんが、私は相変わらずその世界を知らないまま、今までの壁面をお腹と背中に切り替えて私の目指す美を探し求めています。そして、毎日とても楽しんでいます。

秋色の帯

 

前回の書き込みから少し間が空いてしまった。
お盆休みもほとんど出かけずここ越畑にいた。
のんびりした時間を過ごしながら時々仕事。
ちょうど帯の経糸の染めの段取りが整っていたので
時間をかけて染め重ねた。今回は秋色を意識しての茶と濃いグレー。
茶の部分は特に多色を染め重ねて深い色合いになった。
気に入ったものになり今のところは満足。
今日の午後にこれでいいだろうというものになったので
経糸を千切りに巻き取る。
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しかし毎日暑い!!
今日の工房も普通に35度以上。これが当たり前になった。
この暑さもいつかは恋しくなるのだろうなとは思うけど、、、。

部分整経 二種類の方法

普段は整経台を使って整経をする。

大管30本前後を大管立てに並べだいたい20〜30メートルまでの整経をする。しかし作るものあるいはその後どのような織りにするかによってその整経方法も変えることがある。
今回は細い絹糸とウールの経糸の混織をしたいので二重ビームであれば都合がいいので部分整経機を使って整経する。粗い筬を使うので56本の大管をならべる。この56本で約4センチ幅になる。大管からの絹糸を1本づつ取り出してテンションボックスに通していく。
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前後の筬の間にあるのはリジッドヘドルというものでこれによって綾を取ることができる。
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この部分整経機は一周が150センチなので必要な回数だけ4センチ幅で整経する。
必要な長さが整経できれば左に移動して次の約4センチ分の経糸の整経を続ける。
最終必要な経糸本数がそろったら終わり。
今回はこの部分整経機に巻き取った経糸をそのまま二重ビームの一つとして直接機の後ろに
設置、固定。
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機、本来の千切りに巻き取られたウールの経糸とともに綜絖、筬に通って手前の織りに。
もう一つの部分整経のやり方はヨーロッパなどで使われているもので割と粗い経糸本数の織りに向いている。
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この機の場合、千切りの代わりに一周1メートルの木枠を千切りの代わりに機に取り付けてある。5センチ間隔に打ち込まれたピンとピンの間に必要な経糸本数の大管を用意し先ほどと同じ要領でテンションボックスを通して直接機に整経をする。この方法ですると整経の後の機に巻き取るという行程が省かれる利点がある。また重要な点としてこれら部分整経でやった場合、経糸のテンションむらがかなり軽減されるという利点もある。
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ちょっと特殊な工夫をして経糸をなが〜く延ばしての製織中の写真。
この工夫のことに関しては別の項で説明したいと思う。
毎度のことながらいろんなことが、道具が、やり方が織りを楽しくさせてくれる。
僕の教えを汲んでホリノウチマヨが、これらの整経をしてストールの製織を行っている。
日々勉強しながら成長していく姿を目の当たりにし、僕も同じようにまだまだ探し求めるものがある筈と試行錯誤している今日この頃。
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関悦子さんとイエルカさんを訪ねて

 信州松本から生まれて初めての高速バスに乗って松川インターまで。

バスを降りるとそこにイエルカさんが待っていてくれた。
数年前に東京青山でご夫婦が展覧会をされて以来の再会である。
今回の訪問の目的の一つはこのイエルカさんがデザインする薪ストーブを見せてもらうこと。
10数年前にやはり信州駒ヶ根にある「丸富」というお蕎麦屋さんで見た薪ストーブの美しさが忘れられずにいたところ実はそれはイエルカさんが設計、デザインしたものであったことが前回お会いしたときに判明した。そして今度は永年使って来た我が家の北欧製の鋳物の薪ストーブが
昨年あたりから割れ始めているため来冬に備えて買い替えを考える中で是非見てみたいとの想いからの訪問。もちろんご夫婦の作品やその生活ぶりを見せてもらえることにも、、、。
30分ほどで着いたお家は京都の田舎家とはだいぶん趣きの違う立派なそしてとても大きな家だ。自然に囲まれた周りには一軒の家も見えない素晴らしい環境の中に建つこの家は昔の庄屋さんのものだったらしい。玄関を入ると広い土間が。そしてイエルカさんの作品が。
何気なく、静かに置かれているものたちがこのお二人の生活や考え方などを伝えてくれていた。
上の写真の和紙の向こうに透けて見えるのは本来土壁を塗るときの下地になる竹を組んだものを少し間隔をあけてつくったとのこと。最初はそこも壁にする予定だったようだが和紙にかえて大正解と思えた。
悦子さんは永年、山羊の毛で紡いだ糸を使って敷物を織っておられる。
原材料の山羊の毛や糸は以前はギリシャから取り寄せていたけれどもそれが難しくなって
諦めていたところにトルコから入れることが出来るようになり一安心。必要に応じて自分の求める色の糸は自分でも紡がれる。経糸に使われている麻の糸はしっかり撚りのかかったもので太さもある。見たことがないなと思っていたら案の定、特注で作ってもらっているとのこと。
悦子さんの織りは一見とても地味に見えるけれどこれは使い込めば込むほどその良さが出てくる
典型的な仕事だと感じる。機の上にかかっていた仕事途中のラグを触らしてもらったらやはり想像に違わずしっかり織られたもので2代、3代保つんじゃないかと思われる織りでした。僕の師匠だったピーター コリンウッドを思い出してしまった。使う人、使う場所や状況などをしっかり把握して丁寧に正直に仕事をされているのがそのものからも伝わってくる。こういうものづくりする人がいてくれることに嬉しくなると同時に自分自身しっかりしなくちゃと振り返る機会にもなった。
僕がたぶんこれかなと思っていたストーブの現物がなかったので近所でそのタイプを使っておられるお家にもお邪魔して見せてもらった。上の写真のは一番大きなタイプのもの。これより少し小ぶりだがやはりストーブ上部がオーブンとして使えるように設計されている。シチューなどの煮物やオーブン料理などレパートリーが増えそうな仕組みになっていてワクワク。もうほとんどその気になっているが家の中の置くスペースとの相談もしなければいけない。
近所の家にお邪魔しに行っている間に悦子さんが手際よく料理を作ってくださっていて帰ったら
さっそくお二人お気に入りのワインを開けてくださる。添加物一切無しのオーガニック以上のオーガニック。サラッとしていて美味しい!
自家製の野菜の天ぷらにオクラのサラダ風、アボガドとトマトのディップそして
悦子さんの手打ちうどん。なんと贅沢なことかと嬉しく感謝、感謝しかし最終の高速バスの時間が迫っているため後ろ髪ひかれる思いながら食べ残してお別れ。
昨日は朝早くから一日よく動いた。富山から松本、伊那、名古屋経由京都、亀岡そして越畑。
こんな強行なスケジュールは滅多にないことで疲れたけれど素晴らしいお二人の仕事と住まい方
そして考え方のほんの一部にでも接しられたことで興奮し心地よい気分にさせてもらった。
ありがとうございます。