経糸巻きの新兵器

 

一本目の経絣の帯の染めが終わり一旦は千巻きに巻き取る。
経糸を巻き取るときにいつも起こる現象として経糸の幅の
真ん中部分が両端の経糸よりも張りが緩くなることが多い。
織りを始めて何年来もそのことに苦労させられいろいろ工夫をしてきた。
その一つに経糸の幅に合うお盆なり鍋の蓋なりを使って
そのテンションの緩くなった部分を押し付けてやることで
全体の経糸の張り具合を調整してきた。
しかし、その場合一人で巻き取ることは出来ず誰かに手伝ってもらう必要がある。
昨年秋、学校で西陣で使う経絣の経糸巻き器を利用して学生の経糸を巻く
手伝いをしたときに気づいたものがこの緩やかなカーブを持った一枚の板である。
この板を設置してやることで張りの緩んだ真ん中部分の経糸のテンションを
強くすることができ全体に均一な張り具合で巻き取ることができるようになる。
しかも誰かの手を借りずに一人でゆっくり時間をかけて納得がいくまでできる。
また一つ自分の分身を見つけた気分だ。
しかしこうやって考えてみると京都西陣(もちろんほかの地域の伝統産業も同じだが)
という長い伝統と歴史を持った地場産業の創意と工夫は少しづつの積み重ねで
よりいいものをつくる技術や道具が伝えられ、受け継がれて来たのだなあと
つくづく思い知らされる。僕なんかが一代でいろいろ考えてやってみる工夫なんかは
偉そうに威張ったりせずに静かに当たり前のように既にそこにある。
なかなか奥が深いと思い知らされます。

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