やっぱりピーターはえらい!凄い!! その1

アサイド

Peter Collingwood (1922-2008)イギリスの染織家、彼のことは一度には書ききれないくらいにありますので何回かに分けて書きます。

僕が彼のことを知ったのは1978年、僕が南オーストラリアの工芸研究所(The Jam Factory) に入った時からです。日本の染織を伝えるという一応の名目でこの研究所にたまたまうまく入り込んだ若造の僕は(当時27歳)日本から持って行った染織関係の本を読みあさりながら試行錯誤を繰り返し「絣の織りもの」を好きなように作らせてもらっていました。天国のようでした。あまりの待遇の良さにこれは本気で勉強しなくてはとそれまではぐうたらな僕が思ったくらいでした。ということで遊びの誘惑があっちこっちに転がっているアデレードの街にいて平日はもちろん、週末もせっせと工房に通って仕事をしていました。そんな折工房で見つけたのが「The Techniques of Rug Weaving」と云う本でした。初版が1968年。出版されてすでに10年、そのときには4版か5版もされていたもので当時の染織関係の人たちには「織りもののバイブル」的存在になっていました。

まだ英語がうまく話せない、読めない僕でしたが丁寧な図版つきのこの本には織りの技法に関して知りたいことがそこに書いてあるという素晴らしいものでした。ついでに染織の専門用語を勉強する手引きにもなりました。そんな染織三昧な2年間を過ごしたあともう少し染織の勉強をしたくイギリスの大学に行くことになりました。6月に渡英し9月に新学期が始まる前の夏の間に僕はあこがれのピーターに会いに行きました。Colchester の Nayland という小さな小さな田舎町にあるかつて町の小学校だった建物を改造して工房と住まいになっているところに通され開口一番「What can I do for you?」と云われたのをいまだにしっかり覚えています。あこがれの彼に会えただけ、工房を見せてもらうだけでも十分と思っていた僕はただもぞもぞしていたように記憶しています。彼との出会いはこれくらいにします。また次回以降いろいろな話しを書けたらと思っています。

ところで今日「やっぱりピーターはえらい!」というのは先日織った帯でふと気づいたことから思ったことです。写真の帯のお太鼓の真ん中部分を見てもらうと判り易いのですが横段で右側が黒、左側が白のところ今までであれば緯糸に黒を使うと白の部分が経糸の白に黒が入るので白がスッキリしなくなります。そこで右の本の図版で見られるように右からは黒の緯糸、左からは白の緯糸を入れお互いにぶつかったところで引き返すように織って行けば黒は黒、白は白と緯絣のように織ることができます。この技法は技法としては知っていたのですが自分の作品に使うようには思いつかなかったのですが今回ふっと思い出したら大正解でした。ピーターありがとう!

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工房は休み

梅雨の合間の晴れ時々曇りそして時々小雨の一日。

工房は2週に一回のペースで土日を休みにしています。ということで今朝は少しのんびり犬の散歩やら家の片付けをしてから工房にお出かけ。昨日の帯の染めの続きを。まだまだ思っている色にはなっていないけれど少しは近づいてきています。

近い内にしっかり書きたいと思っていますが今更ながら僕が師と崇めているピーターはやっぱりえらいとつくづく思います。彼が書いた「The Techniques of Rug Weaving」はラグ織りのための技法書ではあるけれどそのひとつひとつが他の織りにも当てはまることが多くやはりこの本の翻訳版をなんとかしたいと思います。もう20年程前になりますが550ページ程のこの本を日本語訳にしました。その当時は出版社もその気になっていたのですがいつの間にかたち消えになってしまっています。どなたかいいアイデアがありましたら教えて下さい。

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今日は6月最後の日

今日は月末、もう半年が終わってしまいました。ほんとうに時の過ぎるのは早いものですね。午前中は諸々の野暮な仕事に終わりました。

先日織り上がった布、蒸しをした後洗いをかけ干し上がったものに裏打ち。これらはパネル張りの為最近は和紙で裏打ちをした後にパネルに張る用にしています。平行して新しい帯の下染めも始めました。今日の分は全くの下仕事なのでまだまだ変化していきます。昨日のブログでも書いたように経糸に数種類の絹糸を使っているのでこの梅雨時の湿気で糸の伸び方が違い均一にすることも難しいです。なかなか大変なこともありますがそれも楽しまなくては。

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やっぱり織りがおもしろい!!

何回目にかなりますがまたまた一年余りこのブログを休んでしまいました。時々ブログを更新しなくてはと思いながらなかなかこのページに入ることができずにぐだぐだしてました。ただ仕事は順調にきていてこの一年も楽しくやってきました。以前にも書いたかと思いますが還暦を迎えた頃から生涯現役を自覚したと同時にそれまで以上に仕事が面白く思えるようになりました。不思議なことですが事実です。

さて今日も織りをしていてつくづく「織り」が面白いなあと思わされました。織りものは経糸に緯糸を交差させることによって成り立って行きます。僕のつくる織りものの場合、経糸に数種類の糸を混ぜ込みます。つまり同じ絹糸でも糸の太さが違うものや撚り加減の違うものなどいろいろな糸を組み合わせて整経します。そしてそれらの糸に染めを施す訳ですが当然太さや撚りの違う糸は同じように染めても同じようには吸収してくれません。つまりひとつの巾の経糸の中に同じ色の染料で染めてやっても濃淡が出てきます。それに加えて僕の場合はいろんな色を染め重ねますので経糸に何重にも染まった色が重なり尚かつ濃淡のある色が複雑に混ざり合います。そんな経糸に今度は緯糸を入れて行きます。例えば青の経糸に黒の緯糸を入れてやると深い青になります。赤の経糸に黒、黄色の経糸に黒とそれぞれ織ってみると経糸だけで見ている色よりは深みのある落ち着いたものになります。これらのことは「織り」で出来る特徴で染め物ではこうはいきません。「布染め」の場合、白生地に染めを施すので布全体が均一に染まってしまいます。織りのように経糸と緯糸の色を変えることができません。

このように経糸と緯糸を交差させて出て来る色の深みを最大限に利用して「織り」をもったもっと楽しんでいきたいなあと今日もつくづく思いながら仕事をしていました。これからはなるべく気楽に日記的なものも含めてこのブログに自分の感じたことなど発信していきたいと今思っていますが果たしてどこまで続くやら?

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IKI 粋 SUI 展に出品

新緑の美しい季節になりました。ゴールデンウィークももうそろそろ終わりですかね。

さて先の5月1日から始まった「IKI 粋 SUI 展」に1組の作品を出品しています。会場は京都「 染め・清流館」で6月12日までです。

 

昨年の秋に出品を依頼され「粋」とは何か?自分が「粋」やなあと思えるものは何なんだろう。他の人はどんなのを「粋」と感じるのだろうか?いろいろ自分のなかで考えてみました。「関東の粋=(いき)・関西の粋(すい)」と呼ばれるように同じ漢字でありながらそこには微妙に異なるニュアンスを従来の日本人は感じとってきたという。はたして富山生まれの僕はどうなんだろう。日本人が感じとってきた「美」そして自分が「粋」と思える「美」とは?

 

試行錯誤の結果、下の作品に行き着きました。自分の中では「ミニマム」と云う言葉と「美」とが絶えず重なっていることを再確認した今回の作品づくりになりました。スケッチから最終のものまでをお見せします。

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作品の下絵としてのラフスケッチです。

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織り上がったものを工房で掛けてみる。

 

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図録からの転載。

フェルトラグが復活しました!!

永らく休止していたWoven Felted Rug の制作を復活しました。このラグ、織っただけではなくその後にフェルト化させることによって肌触りの柔らかさに加え、厚みと丈夫さが増します。つくり続けて30年余りたくさんの方々に愛用していただいていたものですが、近年体力的に辛いものがあったので休んでいました。と言うのもフェルト化させるのに3日間、フルマラソンを3回走るくらいの体力が要ります。しかし今年の正月から我が工房に参加してくれている若き男性アシスタントの本多君がその役割を担ってくれることになりました。有難いことです。

注文を頂きながら何年もお待たせしていましたがこれからはせっせと作って行ける態勢が整いました。今暫くお待ちください。そしてラグにご興味のある方、ホームページの写真をご覧下さい。注文有難く受け付けます。

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縮絨が終わったラグを木製のフレームに釘で打ち付けてかたちを整える。織り上がったものからは約15%縮む。
そして新たな経糸の整経を機に直接取り付けた部分整経器で整経する。

謹賀新年

明けましておめでとうございます。

今年は新年をゆっくりと過ごしました。

そして明日から仕事を始めます。

新たにアシスタントも加わってくれることになりました。

しっかりいいものをつくって行きたいと思っています。

どうぞよろしくお願いいたします。

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ホームページ再開しました

僕のうっかりミスのせいでホームページが削除されてしまいました.夏前のこと。知り合いのweb デザイナーに復活をお願いし、ようやく今日復活させることができましした。まだまだ細かいところでの手直しがあるかも知れませんがとりあえずの再開です。時に覗き見していただけたら嬉しいです。

秋もだいぶん深まってきました。まわりの木々もあかずいてきています。
紅葉のこの時季、日々の色の変化が楽しみです。

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この夏の仕事のこと、、。

あの暑い暑いと云っていた夏もいつのまにやらどこかへ行ったような今日この頃です。
田んぼの稲は頭を垂れてもうそろそろの稲刈りを待っています。
その上を赤とんぼがスイスイと飛んでいます。やはりもう秋が来ているようです。
30年ほどお付き合い、お世話になっている京都のT屋旅館に関わった仕事をこの夏二つすることになりました。
この旅館のご主人のTさんにはお会いするたびに美術工芸全般、特に建築のこと、庭、
焼物や食べ物などなどいろんな分野の美のことに関していろいろ教えていただくことがたくさんあり
お会いしに行くのがとても楽しみなお方です。
そのTさんはこと敷物に関しては鍋島緞通ほど日本の建物に似合うものはないとおっしゃっておられます。
そして旅館のそこここに敷いておられます。もちろん玄関にも。
お世話になり始めて間もないある日、T屋の玄関に鍋島に代わる「夏の敷物」をつくってくれとの課題をいただきました。
それまでに僕自身も敷物をつくってきていましたがそれはイギリス時代に開発したウール100% のもので
日本の建築のなかにはなかなか入りづらいものがあります。
旅館の玄関と云えばやはり一つの顔になるところなので変なものはつくれません。
まして鍋島緞通に置き換えれるものをと、、。
それからは毎日毎日考え、試行錯誤してはみたもののなかなかいいアイデアはでてきませんでした。
苦し紛れに佐賀県まで夜行列車に乗って鍋島緞通を見に博物館にも行き、
実際織られている工房へもお邪魔して見せていただきました。
勉強にはなりましたがそんなに簡単に問題が解決するようなものではありませんでした。

2年ほどの間に時々思い出してはどうしようと考えるのですがなかなか芳しいものがでてきませんでした。
そんなある日、何も一枚でつくらなくても二枚重ねもあり得るかもという案が思い浮かびました。
そのときたまたま興味を惹かれていた羅織り、紗織り的なものを別の布の上に被せるのはどうか?
透け感のある紗を布に被せることによって色を遊ぶことができる上に「夏の敷物」という課題にもいけるかもと喜び、
さっそくその案を提出しました。
答えは長い時間がかかったけれど面白いものが出来そうということでお許しがでました。
それからの実労働はからだを動かすだけなのでとっても楽な筈と思っていましたがやはりいくつかの障害がありました。
紗織りをするにあたっての勉強をし、その材料をどうするか。やはり敷物なので強度も要求されるし、
それでいて涼しげに見える透けた紗にするには、、、などなど。
いつも行く糸屋さんに相談しているうちに教えていただいた「琴糸」を見た時には狂喜乱舞しました。
琴の弦に使われる糸でしっかり撚りがかかった絹糸です。強度がありながらさらりとした手触りはまさに紗織りの敷物にぴったりでした。
出来上がったものにTさんもとても気に入って下さり、僕もようやくお役に立てて喜びました。
とても楽しかった仕事でしたが辛くもありTさんにもうに二度とこのような仕事はしたくありません
と云ってしまった程です。
しかしこの度もう一度あれに近い夏用の敷物をとおっしゃっていただき二代目の夏の敷物をつくらせていただきました。
今回のものは紗織りではなくざっくりした絹糸を使って組織織りの透け感のある布を織りました。
これにはパートナーの堀ノ内麻世のアイデアや試作づくりの協力のがあって初めてできた仕事でした。
出来上がりにTさんも僕も満足いくものになりました。

こうして考えてみると苦労して出来上がったものにはやはりそれなりの達成感と同時にいろんな副産物を残してくれます。仕事をしていくなかで時々こういう印象に残るものに出会えることに感謝します。

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もう一つの夏の仕事は、T屋旅館がやっておられるてんぷら屋をこの度旅館の近くに移転されるために新たに建てられたた建物の一室に100 X 200 cm のサイズのタピストリーを納めてきました。これは何年か前につくったものでしたがイメージとしてはぴったりと合うと勝手に判断してTさんにも見てもらい掛けてきました。9月の中頃にオープンするとのことなのでとても楽しみです。

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