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年: 2013年
部分整経 二種類の方法
2013/08/10
普段は整経台を使って整経をする。
大管30本前後を大管立てに並べだいたい20〜30メートルまでの整経をする。しかし作るものあるいはその後どのような織りにするかによってその整経方法も変えることがある。
今回は細い絹糸とウールの経糸の混織をしたいので二重ビームであれば都合がいいので部分整経機を使って整経する。粗い筬を使うので56本の大管をならべる。この56本で約4センチ幅になる。大管からの絹糸を1本づつ取り出してテンションボックスに通していく。
前後の筬の間にあるのはリジッドヘドルというものでこれによって綾を取ることができる。
この部分整経機は一周が150センチなので必要な回数だけ4センチ幅で整経する。
必要な長さが整経できれば左に移動して次の約4センチ分の経糸の整経を続ける。
最終必要な経糸本数がそろったら終わり。
今回はこの部分整経機に巻き取った経糸をそのまま二重ビームの一つとして直接機の後ろに
設置、固定。
機、本来の千切りに巻き取られたウールの経糸とともに綜絖、筬に通って手前の織りに。
もう一つの部分整経のやり方はヨーロッパなどで使われているもので割と粗い経糸本数の織りに向いている。
この機の場合、千切りの代わりに一周1メートルの木枠を千切りの代わりに機に取り付けてある。5センチ間隔に打ち込まれたピンとピンの間に必要な経糸本数の大管を用意し先ほどと同じ要領でテンションボックスを通して直接機に整経をする。この方法ですると整経の後の機に巻き取るという行程が省かれる利点がある。また重要な点としてこれら部分整経でやった場合、経糸のテンションむらがかなり軽減されるという利点もある。
ちょっと特殊な工夫をして経糸をなが〜く延ばしての製織中の写真。
この工夫のことに関しては別の項で説明したいと思う。
毎度のことながらいろんなことが、道具が、やり方が織りを楽しくさせてくれる。
僕の教えを汲んでホリノウチマヨが、これらの整経をしてストールの製織を行っている。
日々勉強しながら成長していく姿を目の当たりにし、僕も同じようにまだまだ探し求めるものがある筈と試行錯誤している今日この頃。
関悦子さんとイエルカさんを訪ねて
2013/08/06
信州松本から生まれて初めての高速バスに乗って松川インターまで。
バスを降りるとそこにイエルカさんが待っていてくれた。
数年前に東京青山でご夫婦が展覧会をされて以来の再会である。
今回の訪問の目的の一つはこのイエルカさんがデザインする薪ストーブを見せてもらうこと。
10数年前にやはり信州駒ヶ根にある「丸富」というお蕎麦屋さんで見た薪ストーブの美しさが忘れられずにいたところ実はそれはイエルカさんが設計、デザインしたものであったことが前回お会いしたときに判明した。そして今度は永年使って来た我が家の北欧製の鋳物の薪ストーブが
昨年あたりから割れ始めているため来冬に備えて買い替えを考える中で是非見てみたいとの想いからの訪問。もちろんご夫婦の作品やその生活ぶりを見せてもらえることにも、、、。
30分ほどで着いたお家は京都の田舎家とはだいぶん趣きの違う立派なそしてとても大きな家だ。自然に囲まれた周りには一軒の家も見えない素晴らしい環境の中に建つこの家は昔の庄屋さんのものだったらしい。玄関を入ると広い土間が。そしてイエルカさんの作品が。
何気なく、静かに置かれているものたちがこのお二人の生活や考え方などを伝えてくれていた。
上の写真の和紙の向こうに透けて見えるのは本来土壁を塗るときの下地になる竹を組んだものを少し間隔をあけてつくったとのこと。最初はそこも壁にする予定だったようだが和紙にかえて大正解と思えた。
悦子さんは永年、山羊の毛で紡いだ糸を使って敷物を織っておられる。
原材料の山羊の毛や糸は以前はギリシャから取り寄せていたけれどもそれが難しくなって
諦めていたところにトルコから入れることが出来るようになり一安心。必要に応じて自分の求める色の糸は自分でも紡がれる。経糸に使われている麻の糸はしっかり撚りのかかったもので太さもある。見たことがないなと思っていたら案の定、特注で作ってもらっているとのこと。
悦子さんの織りは一見とても地味に見えるけれどこれは使い込めば込むほどその良さが出てくる
典型的な仕事だと感じる。機の上にかかっていた仕事途中のラグを触らしてもらったらやはり想像に違わずしっかり織られたもので2代、3代保つんじゃないかと思われる織りでした。僕の師匠だったピーター コリンウッドを思い出してしまった。使う人、使う場所や状況などをしっかり把握して丁寧に正直に仕事をされているのがそのものからも伝わってくる。こういうものづくりする人がいてくれることに嬉しくなると同時に自分自身しっかりしなくちゃと振り返る機会にもなった。
僕がたぶんこれかなと思っていたストーブの現物がなかったので近所でそのタイプを使っておられるお家にもお邪魔して見せてもらった。上の写真のは一番大きなタイプのもの。これより少し小ぶりだがやはりストーブ上部がオーブンとして使えるように設計されている。シチューなどの煮物やオーブン料理などレパートリーが増えそうな仕組みになっていてワクワク。もうほとんどその気になっているが家の中の置くスペースとの相談もしなければいけない。
近所の家にお邪魔しに行っている間に悦子さんが手際よく料理を作ってくださっていて帰ったら
さっそくお二人お気に入りのワインを開けてくださる。添加物一切無しのオーガニック以上のオーガニック。サラッとしていて美味しい!
自家製の野菜の天ぷらにオクラのサラダ風、アボガドとトマトのディップそして
悦子さんの手打ちうどん。なんと贅沢なことかと嬉しく感謝、感謝しかし最終の高速バスの時間が迫っているため後ろ髪ひかれる思いながら食べ残してお別れ。
昨日は朝早くから一日よく動いた。富山から松本、伊那、名古屋経由京都、亀岡そして越畑。
こんな強行なスケジュールは滅多にないことで疲れたけれど素晴らしいお二人の仕事と住まい方
そして考え方のほんの一部にでも接しられたことで興奮し心地よい気分にさせてもらった。
ありがとうございます。
梅雨明け、猛暑
2013/07/10
昨日梅雨明け宣言されたと同時に猛暑が襲って来た。
この工房以前はシクラメンの花を育てるための温室だった。
それを改造しての工房なので春秋は快適なのだが(ほんの僅かの期間だが)
夏になると地獄となる。今日も朝から30度を超えていた。
昼過ぎには体温をはるかに超える38度。
やはり以前よりは地球温暖化が進んでいるのかなと思わされるこの気温。
しかしその暑さのおかげで経糸の染めの乾きが早く順調に仕事が進む。
一本目の帯の染めが完了し、千切りに巻き取る。
夕方7時頃に犬を連れての散歩ではちょうどの日の入りに出くわす。
昼間の暑さも忘れさせてくれるこの景色に救われる。
そして夜には昼の暑さがどこに行ったかと思うほど涼しく快適。
山里に住んでいるおかげかと感謝。
明日またがんばります。
秋帯ともう一本の帯
2013/07/05
昨日の朝、織り上がった帯2本を色止めのために蒸しにかける。
その後水洗いをし、酸払いをし張り手を使って干す。
しかし、昨日からの雨で今日になっても乾かない。
今日中の発送でないと間に合わない為、ファンヒーターや灯油ストーブなどを動員。
間の悪いときは重なるものらしく昼過ぎには強い雨と落雷のため停電になる。
30分ほどで停電も解除され大慌てでドライヤーも動員して乾かす。
なんとか夕方までには発送の準備ができ胸を撫で下ろす。
出来上がりはこのように、、。
手前が太鼓とたれの部分。
そしてもう一本の帯は
ちょっと大胆かなと思える横段の絣。
さて、どのような評価がでるか?
秋帯
2013/06/30
先日、青山八木さんから電話が入り
近々「和楽」が秋に特集するきもの用になにか「帯」をということでした。
締め切りは7月5日。
ちょうど一本の染めが終わったところだったので急遽秋帯の染めを。
それが昨日染め上がり今日から製織です。
緯糸を入れるとガラッと感じが変わります。
急いで、しっかり織らなければ、、、。
一日一染 ようやく完成
2013/06/29
ようやく仕上がりました。
先日色落ちしたところをもう一度染め重ねる。
ついでにその他の所ももう一度見直し、染め重ねる。
本来の仕事の合間に時間をみつけては染め重ねの作業を続けた。
実際には絹糸を使った「帯」の経糸の染めとこの木綿の帆布では
使う染料も全く違うので「帯」の染めのついでにと云う訳にはいかない。
しかし思い描いていたものに最終仕上がったので満足。
これはしっかり染め重ねたものなので実際バッグとして使ってもらえれば
嬉しい。この頑丈な一澤信三郎帆布のバッグがいい感じに
使いこなされてきた時にこの染めの色も味わい深くなっていればと願う。
東日本大震災復興支援の役に少しでもたてればと思う。
経糸巻きの新兵器
2013/06/26
一本目の経絣の帯の染めが終わり一旦は千巻きに巻き取る。
経糸を巻き取るときにいつも起こる現象として経糸の幅の
真ん中部分が両端の経糸よりも張りが緩くなることが多い。
織りを始めて何年来もそのことに苦労させられいろいろ工夫をしてきた。
その一つに経糸の幅に合うお盆なり鍋の蓋なりを使って
そのテンションの緩くなった部分を押し付けてやることで
全体の経糸の張り具合を調整してきた。
しかし、その場合一人で巻き取ることは出来ず誰かに手伝ってもらう必要がある。
昨年秋、学校で西陣で使う経絣の経糸巻き器を利用して学生の経糸を巻く
手伝いをしたときに気づいたものがこの緩やかなカーブを持った一枚の板である。
この板を設置してやることで張りの緩んだ真ん中部分の経糸のテンションを
強くすることができ全体に均一な張り具合で巻き取ることができるようになる。
しかも誰かの手を借りずに一人でゆっくり時間をかけて納得がいくまでできる。
また一つ自分の分身を見つけた気分だ。
しかしこうやって考えてみると京都西陣(もちろんほかの地域の伝統産業も同じだが)
という長い伝統と歴史を持った地場産業の創意と工夫は少しづつの積み重ねで
よりいいものをつくる技術や道具が伝えられ、受け継がれて来たのだなあと
つくづく思い知らされる。僕なんかが一代でいろいろ考えてやってみる工夫なんかは
偉そうに威張ったりせずに静かに当たり前のように既にそこにある。
なかなか奥が深いと思い知らされます。
一日一染 色が、、
2013/06/25
今日午後、仕事の合間に昨日までに染めたそしてもう完成と思っていた
バッグ2つの染めを定着させソーピングする。
しかしあのきれいに染まっていた筈の青がはげ落ちてしまった。
ソーピング前はこんなにきれいだったのに!!
黒の方も部分的には定着せず。
理解不能な現象に???
染め重ねた色が残りその下の色が消えている。
原因の一つと思われるのはワックス。
さすが一澤信三郎帆布、しっかり布にワックスをぬり込んであった。
染める前に熱湯で炊き込んできれいに落としたつもりだったのだけれど
まだ残っていたのかも知れない。
この半端じゃない強度を持つ一澤帆布の布はそんなに簡単には染まってくれない。
理不尽だと思う気持ちが出て来たけれど、まてまてこの程度で何を言っとるんや!!
震災に遭われた人たちのことを考えればこんなレベルのところで愚図ってどうする。
明日からもう一度染め重ねの作業に入ります。
毎日の積み重ねの作業が少しづつ少しづつ前に進んで行くと信じて!!
一日一染 完成かな?
2013/06/24
今日の時点ではこれでいいかなという所まで進みました。
明日に染めを定着させその後にソーピングしてその出来上がり次第では完成です。
表面が上の写真。そしてその裏面が下のしゃしん。
一点はチャリティー用もう一点は自分用と思って染めたけれど
どちらをだそうかなと迷います。いっそ両方とも出した方がいいのかな?
しかしオークションで値がつかなかったらどうしよう。
これの裏が下の写真。
そしてもう一つが
その裏が
これです。
久しぶりに木綿に染色してその染め付きの悪さを再認識させられました。
染め重ねて染め重ねてようやくここまでになりました。
しかし本来の自分の仕事をそっちのけで楽しませてもらいました。
一日一染 その後
2013/06/21
先日来染め続けている帆布のバッグ。今日の時点での報告です。
今日は調子によく進んだ為写真よりも大分進みました。
そして裏面にも彩色しました。
明日の報告をお楽しみに。
そして帯の染め。
今回はこれまでの青と金茶とシルバー。
明日からはもう一本の染めに入ります。
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