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TOMITA
TEXTILE STUDIOKYOTO, JAPAN

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関悦子さんとイエルカさんを訪ねて

2013/08/06

 信州松本から生まれて初めての高速バスに乗って松川インターまで。

バスを降りるとそこにイエルカさんが待っていてくれた。
数年前に東京青山でご夫婦が展覧会をされて以来の再会である。
 
今回の訪問の目的の一つはこのイエルカさんがデザインする薪ストーブを見せてもらうこと。
10数年前にやはり信州駒ヶ根にある「丸富」というお蕎麦屋さんで見た薪ストーブの美しさが忘れられずにいたところ実はそれはイエルカさんが設計、デザインしたものであったことが前回お会いしたときに判明した。そして今度は永年使って来た我が家の北欧製の鋳物の薪ストーブが
昨年あたりから割れ始めているため来冬に備えて買い替えを考える中で是非見てみたいとの想いからの訪問。もちろんご夫婦の作品やその生活ぶりを見せてもらえることにも、、、。
 
30分ほどで着いたお家は京都の田舎家とはだいぶん趣きの違う立派なそしてとても大きな家だ。自然に囲まれた周りには一軒の家も見えない素晴らしい環境の中に建つこの家は昔の庄屋さんのものだったらしい。玄関を入ると広い土間が。そしてイエルカさんの作品が。
 
 
 
 
 
 
何気なく、静かに置かれているものたちがこのお二人の生活や考え方などを伝えてくれていた。
上の写真の和紙の向こうに透けて見えるのは本来土壁を塗るときの下地になる竹を組んだものを少し間隔をあけてつくったとのこと。最初はそこも壁にする予定だったようだが和紙にかえて大正解と思えた。
 
 
 
 
悦子さんは永年、山羊の毛で紡いだ糸を使って敷物を織っておられる。
原材料の山羊の毛や糸は以前はギリシャから取り寄せていたけれどもそれが難しくなって
諦めていたところにトルコから入れることが出来るようになり一安心。必要に応じて自分の求める色の糸は自分でも紡がれる。経糸に使われている麻の糸はしっかり撚りのかかったもので太さもある。見たことがないなと思っていたら案の定、特注で作ってもらっているとのこと。
 
悦子さんの織りは一見とても地味に見えるけれどこれは使い込めば込むほどその良さが出てくる
典型的な仕事だと感じる。機の上にかかっていた仕事途中のラグを触らしてもらったらやはり想像に違わずしっかり織られたもので2代、3代保つんじゃないかと思われる織りでした。僕の師匠だったピーター コリンウッドを思い出してしまった。使う人、使う場所や状況などをしっかり把握して丁寧に正直に仕事をされているのがそのものからも伝わってくる。こういうものづくりする人がいてくれることに嬉しくなると同時に自分自身しっかりしなくちゃと振り返る機会にもなった。
 
 
僕がたぶんこれかなと思っていたストーブの現物がなかったので近所でそのタイプを使っておられるお家にもお邪魔して見せてもらった。上の写真のは一番大きなタイプのもの。これより少し小ぶりだがやはりストーブ上部がオーブンとして使えるように設計されている。シチューなどの煮物やオーブン料理などレパートリーが増えそうな仕組みになっていてワクワク。もうほとんどその気になっているが家の中の置くスペースとの相談もしなければいけない。
 
近所の家にお邪魔しに行っている間に悦子さんが手際よく料理を作ってくださっていて帰ったら
さっそくお二人お気に入りのワインを開けてくださる。添加物一切無しのオーガニック以上のオーガニック。サラッとしていて美味しい!
 
 
自家製の野菜の天ぷらにオクラのサラダ風、アボガドとトマトのディップそして
悦子さんの手打ちうどん。なんと贅沢なことかと嬉しく感謝、感謝しかし最終の高速バスの時間が迫っているため後ろ髪ひかれる思いながら食べ残してお別れ。
 
昨日は朝早くから一日よく動いた。富山から松本、伊那、名古屋経由京都、亀岡そして越畑。
こんな強行なスケジュールは滅多にないことで疲れたけれど素晴らしいお二人の仕事と住まい方
そして考え方のほんの一部にでも接しられたことで興奮し心地よい気分にさせてもらった。
ありがとうございます。
 
 

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