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カテゴリー: 織りの行程
部分整経 二種類の方法
2013/08/10
普段は整経台を使って整経をする。
大管30本前後を大管立てに並べだいたい20〜30メートルまでの整経をする。しかし作るものあるいはその後どのような織りにするかによってその整経方法も変えることがある。
今回は細い絹糸とウールの経糸の混織をしたいので二重ビームであれば都合がいいので部分整経機を使って整経する。粗い筬を使うので56本の大管をならべる。この56本で約4センチ幅になる。大管からの絹糸を1本づつ取り出してテンションボックスに通していく。
![IMG_0457.jpg](https://juntomita.img.jugem.jp/20130810_603907.jpg)
![IMG_0458.jpg](https://juntomita.img.jugem.jp/20130810_604202.jpg)
前後の筬の間にあるのはリジッドヘドルというものでこれによって綾を取ることができる。
![IMG_0454.jpg](https://juntomita.img.jugem.jp/20130810_603896.jpg)
![IMG_0456.jpg](https://juntomita.img.jugem.jp/20130810_603906.jpg)
この部分整経機は一周が150センチなので必要な回数だけ4センチ幅で整経する。
必要な長さが整経できれば左に移動して次の約4センチ分の経糸の整経を続ける。
最終必要な経糸本数がそろったら終わり。
今回はこの部分整経機に巻き取った経糸をそのまま二重ビームの一つとして直接機の後ろに
設置、固定。
![IMG_0486.jpg](https://juntomita.img.jugem.jp/20130810_604104.jpg)
機、本来の千切りに巻き取られたウールの経糸とともに綜絖、筬に通って手前の織りに。
もう一つの部分整経のやり方はヨーロッパなどで使われているもので割と粗い経糸本数の織りに向いている。
![IMG_0459.jpg](https://juntomita.img.jugem.jp/20130810_603908.jpg)
この機の場合、千切りの代わりに一周1メートルの木枠を千切りの代わりに機に取り付けてある。5センチ間隔に打ち込まれたピンとピンの間に必要な経糸本数の大管を用意し先ほどと同じ要領でテンションボックスを通して直接機に整経をする。この方法ですると整経の後の機に巻き取るという行程が省かれる利点がある。また重要な点としてこれら部分整経でやった場合、経糸のテンションむらがかなり軽減されるという利点もある。
![IMG_0460.jpg](https://juntomita.img.jugem.jp/20130810_603948.jpg)
ちょっと特殊な工夫をして経糸をなが〜く延ばしての製織中の写真。
この工夫のことに関しては別の項で説明したいと思う。
毎度のことながらいろんなことが、道具が、やり方が織りを楽しくさせてくれる。
僕の教えを汲んでホリノウチマヨが、これらの整経をしてストールの製織を行っている。
日々勉強しながら成長していく姿を目の当たりにし、僕も同じようにまだまだ探し求めるものがある筈と試行錯誤している今日この頃。
経糸を機に巻き取る
2013/04/12
染織を始めてから40年が経ちました。
この間に日本のいろんな方々の工房を見る機会がありました。
また幸いにして日本をはじめオーストラリア、イギリス、アメリカ、北欧3国、
スイス、オランダなどの国々の美大で教える機会をいただきいろんな工房や設備、
道具などなどを見る機会に恵まれました。
私は主に日本の絣の技法を教えることを要請されて行ったのですが
教えにいって思い知らされたのは日本でやっていることをそのまま
伝えられないということでした。
文化や設備、道具の違い、素材や状況や時間的制約などを考えると
自分でやっていることを丸ごと伝えても意味がないことも多々あるということです。
そこでその場に一番あった改善策を考え、提供することを心がけてきました。
その経験が自分自身にとっても非常に勉強になったと思います。
この経験が私に一つの大きなヒントを与えてくれました。
染織をしていくとき、それぞれの行程をいつも同じようにする必要は
ないということです。また、この道具はこのようなときにこのように使うもの
という風に限定しないということです。
そのときの状況や素材などと相談して決めてやればいいということです。
また道具に関して云えば、今自分がしたいことに必要なものを見つけて
使う、まさしく手の延長のものを探してやるということです。
それが常識的にはおかしくても必要であればそれでいいのです。
私の工房にはあっちこっちに漬け物石やブロックが散在しています。
誰かにちょっと持っててもらう代わりやおもし代わりに重宝しています。
そしてどうしても必要とあれば自分でつくる、あるいはその道具を改造する
そういう度胸も必要になります。
こういう風に私が思う事、考える事を今自分がやっていることに
照らし合わせながらこれから少しづつ書いていきます。
染織を勉強している人ややっている人に役に立てればと願います。
さて経糸巻きです。
今回は半幅帯を2本分、部分整経器を使って整経しました。
![](https://juntomita.img.jugem.jp/20130331_380940.jpg)
![](https://juntomita.img.jugem.jp/20130331_380939.jpg)
その整経器から直接工房の隅に設置された千巻きに引き延ばし
(とりあえずは帯1本分の長さを)経糸をピンと張った状態で
染めます。(この染めのことは後日また)1本分が染め終われば
その経糸を上記千巻きにいったん巻き取ります。
つまり部分整経器から残りもう1本分の経糸を引き延ばしてやります。
そして残りもう1本の染めを施します。
染め終わったら凸凹のついたクランプで経糸がずれないように
しっかり止めてやります。(写真手前の黒いもの)
![](https://juntomita.img.jugem.jp/20130412_399821.jpg)
今度は部分整経器から経糸を外し織り機本体に括ります。
整経の始めにつくった輪を利用してロープでジグザグに止めました。
![](https://juntomita.img.jugem.jp/20130412_399828.jpg)
あとは染め上がった経糸とむこうの千巻きに巻かれているもう1本の
経糸を織り機のほうの千巻きに巻き取ります。
![](https://juntomita.img.jugem.jp/20130412_399838.jpg)
今回この作業まったく一人でやっています。
そこで必要なのは手前の機に巻き取る分向こうの千巻きに
巻かれた経糸が出てくれないとこまります。
バネを使ってフリクションブレーキを利用しこの問題を解決しています。
![](https://juntomita.img.jugem.jp/20130412_399831.jpg)
以上。
今回はこのような手順でやりましたがいつも同じではありません。
なにかの役に立てば幸いです。
冨田潤
https://juntomita.com/wp
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